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惜しまれつつも閉場を迎えた東京モーターショー。
しかし今後は名古屋、福岡、札幌と日本各地での開催が続々と叶うことになっており、東京まで詣でるにはちょっと遠いけれども、おらが街に来てくれるんなら行ってみようかな、と考えていらっしゃる皆さんも多いのではないだろうか。
東京モーターショーに行かれた方はその復習として、これから地方モーターショーに行かれる方には予習としてご覧いただきたく、ショーモデルに試乗が叶ったのでレポートをお届けしたいと思う。
ホンダのステージに、あのNSXとともに燦然と輝いていた燃料電池自動車、「クラリティFC」だ。
2015年度内に発売することがアナウンスされているこのクラリティFC。いやいや、とはいえもう11月ですけど!?と焦る事なかれ、試乗させていただいたモデルはすでに最終市販形態間近!というレベルにまで調整されていた。まさにこれから市販化に向けて細かなセッティングを詰めて行くと言う段階だという。
さて、待望の「クラリティFC」は果たして、こんなふうな風貌で我々の前に姿を見せた。
意外になんというか・・・だいぶ賛否両論分かれそうなルックスであることは否めない。というのも、すでに発表されていたコンセプトカーのデザインが異様にかっちょよかった期待値を裏切られた(あ、裏切られたとか書いちゃった)ことにも因る。
<参照:Honda FCV CONCEPT>
ごめんなさい、デザインは感覚的な要素が大きいからこれは至極主観的な意見として「あ、こんな人もいるのね」程度に読み飛ばして欲しいんだけど、それでも敢えて言うけど、個人的にはコンセプトカーに忠実に出てくれば、もっと「ホンダのFCV」への世間の注目を集められたんじゃないかと、とっても思う。素直で、申し訳ない。
ちなみに内装もこれからまだ市販車に向けての若干のブラッシュアップを行なうそうではあるのだが、試乗車ではインパネあたりの部品のほとんどをアコードやレジェンドなどと共用しており、このまま出るとしたらイマイチ新鮮味と先進感に欠ける感じ。
価格で言えばミライが723万6千円、クラリティFCが766万円。これでももんのすんご〜〜〜っく頑張った価格だと思う。多分ミライの価格が発表されてひっくり返ったのはクラリティFCの担当者だったはず。
そこを敢えてドライに言い切れば、そんなこたぁ消費者は知ったこっちゃないのだ。だって750万円オーバーのクルマを買うんですよ。パワートレーンにオカネがかかるんですよ〜、だから内装はちょっと我慢してくださいね、は言い訳にならんのである。補助金を含めて400万円台で買えるとはいえ高級車カテゴリーであることは事実。もうすこしヒネリと贅沢感が欲しかった。
インパネとかダッシュボードあたりの質感・商品力で言えばちょっとお安いミライのほうが一枚上手だと感じた。
しかし、後発なだけにウリはある。
5人乗車が出来ることと、それからミライよりも若干ではあるが航続距離を伸ばしたことだ。
ミライではボンネット内にパワーコントロールユニットとモーターを配し、FCスタックと昇圧コンバーターがフロントシートのお尻の下に、駆動用バッテリーがリアシート下あたりに入るため、センタートンネルがキャビン内に配されて乗車定員は4名となっている。
それに対し、クラリティFCは燃料電池パワーユニットをすべてボンネットに入れ込んで(!)室内空間を確保し、5名乗車を可能にしているのだ。
このパワーユニット、簡単に言えば3階建て構造になっている。
一番下には駆動ユニットが、その上に燃料電池スタックが、そしてそのてっぺんに電圧コントロールユニットが乗せられる。
これらを90度回転させてエンジンルーム内にみっちりと搭載したのだ。
セダンにフル5人乗車なんてそうそうないシチュエーションだとはいえ、まったくゼロとも限らない。セダンにもなるべく多くの人数を乗せることが求められる日本の消費者心理にはこの5人乗りというのが意外に効くかもしれない。
あるいは、これによってラゲッジ容量でミライを越えたことにピピっとくるユーザーもいるかもしれない。
しかし、小型化の功績は単に乗員と積載荷物量を増やしたというのみに留まらない。なんとコレ、同社V6 3,5リッターエンジンよりもひとまわり小さく仕上がっているのだ。つまり今後同社のV6エンジン搭載車への応用を視野に入れて設計されたということでもある。
もちろん燃料電池パワーユニットを搭載するにあたって、水素タンクやバッテリーなどを守るため、強度の面でもクリアしなければいけない問題はある。
今回クラリティFCではボンネット内にパワーユニットを納めるに際して、FCスタック自体の強度向上もさることながら、フロントからリアまでメインフレームを繋げて強靭な骨格を作り、その内側にパワートレーン、ICU(バッテリー)、水素タンクを納めて衝突安全に備えた。
しかし逆に言うと、強度さえ確保してしまえばガチガチの専用設計であるミライよりも"フツーのクルマ"に搭載できる可能性が高いということ。
ホンダにはこの開発費を長い目で回収しようという目論みがありそうだから、あんなクルマもこんなクルマも水素化するかも。そうしたら、ホンダのラインナップにおいて水素をガソリンエンジン、ハイブリッドと並んで普通に選べる時代もそう遠くないかもしれない。
【ギャラリー】HONDA CLARITY FUEL CELL63
Continue reading 【試乗記】ホンダ、「CLARITY FUEL CELL」身構えることもなく普通に乗られてしまう:今井優杏
【試乗記】ホンダ、「CLARITY FUEL CELL」身構えることもなく普通に乗られてしまう:今井優杏 originally appeared on Autoblog Japan on Fri, 13 Nov 2015 05:00:00 EST. Please see our terms for use of feeds.
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